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書簡

太陽の読書記録

2024'04.19.Fri
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2005'12.21.Wed


辻村深月:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:4

<あらすじ>
センター試験を間近に控えたある朝、大雪の中登校した男女八人の生徒が学校に閉じこめられた。
誰もいない校舎、止まった時間。
そして彼らは、二ヶ月前の学校祭で自殺したクラスメートの顔も名前も思い出せなくなっていた。
なぜ、この8人は学校に閉じこめられたのか。
自殺したのは誰だったのか。
そして、彼らを閉じこめた人物の意図はなんだったのか…

<感想>
辻村さんのデビュー作です。
『子どもたち~』で、思いっきり騙されたので、今度こそ騙されるものか!とかなり気を付けて読んでいたのですが、やっぱり騙されました。
本当に、読者の盲点をつくのが上手いです!
そして、やはり心理描写はさすが。
外見だけでは、個々がかかえる悩みや葛藤は見えないし、気づけないものなのだな…というのが、痛いくらい伝わってきました。
個人的には、清水の心情が一番感ずるものがありました。
(共感…とまではとてもじゃないけど言えませんが。私はそんなに優秀じゃないです)

ただ、難を付けるとしたら、メインキャラ8人というは少し多すぎたかなと思います。
じゃあ誰を削るんだ、と言われると難しいのですが、ちょっと前半がたるいような気がしたので。

全体としては『子どもたち~』と比べるとまだ荒く無理矢理感もいなめないのですが、デビュー作としてかなりの完成度じゃないかと思います。
こっちを先に読んでいたら「今後に期待」と書くところですが、『子どもたち~』は期待通りと言ってよいと思いますので、「今後も良作を」と言いたいですv

以下にネタバレ感想

自分なりに推理しながら読んでいたのですが、全然あたりませんでした。
鷹野(ついついタカヤと読みたくなってしまいます@イティハーサ)が「ホスト」だと思ったんですけどね…
普通に考えて一番それっぽくない人物が一番怪しい!と思ったからなんですが。
鷹野だけ、暗い面やイヤな面、悩みなんかが全然語られていなくて、みんなが絶大な信頼を寄せているから、絶対何かあると思ったのに、普通に「いい人」でしたね(菅原のとこで、ちょっと哀しい過去も語られてはいるけど、基本的に恵まれすぎてるように思いました)
菅原も、コイツはどこかクサイ!と思いましたが、あの真相には気づきませんでした。
めちゃくちゃ悔しかったですよ!また辻村さんに騙された!
あと、これはアマゾンのレビューでも同じ事を書いてる人がいましたが、「みんな深月に甘すぎ」
この話って、かなり深月に都合良く書かれてるよなーと思いました。
『子どもたち~』の浅葱は背景やエピソードから、そうせざるを得なかった状況、心境がよく分かるので、感情移入できましたが、深月の場合、あまりに彼女の性格によるものが多すぎて、彼女の性格についていけないと感じてしまって、感情移入できなかったです。
作者はどういうつもりで「深月」に自分の名前をつけたのでしょうか?
きっと、なんらかのシンパシーを感じたからかな…とは思いますが、一読者としては、「作者と同じ名前=重要人物」とイヤでも考えてしまうので、まったく関係ない名前をつけた方がよかったんじゃないかなーと思います。
「読者を騙す」という点においても、「まさか作者と同じ名前のキャラが早々に消される訳がない=物語の核心と大きく関わる人物だ」と容易に推測できてしまうから、止めた方がよかったんじゃないかと思いますけどね。

辛口なこともいっぱい書いてますが、お話自体は面白かったですよ。ちょっと、精神的に辛い気持ちになるエピソードもありますが。
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