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書簡

太陽の読書記録

2024'04.27.Sat
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2009'06.28.Sun
黒野伸一:著
ジャンル:現代
好き度:4.5


かもめ幼稚園
新米保育士のちかこ先生。まだまだぺーぺーで園児からもなめられぎみ。
それでも、園児よりもやっかいなのは最近の自己中親たち。
園児に親にふりまわされながらも、けなげに頑張るちかこ先生の奮闘記。


かもめ幼稚園 マンモス学級編
先生になって4ヶ月。
退職した3人の先生のかわりにやってきたのは、大学院卒のエリート先生と、
「方針があわん!」と、前の園を2ヶ月でやめてしまった金髪熱血バカ(男)
いつの間にか「問題児担当」になってしまったちかこ先生の奮闘記第二弾。


<感想>
是非とも2冊セットで読んでほしい。
まず、園児たちの描写が見事だなーと思います。
いい子ばかりでなく、ませた子、裏表のある子、引っ込み思案な子、あつかいが難しい子…
いろんな子が出てきますが、どの子もみんなそれぞれ可愛くて愛しい。
ちっちゃくても人間で、意地悪な心も、ずるい心も、葛藤する心も、後悔する心も持ってる。
でも、大人じゃないから、不器用で表現できなくて、でもだからこそ、素直でまっすぐ。
子どもを美化するでもなく、突き放すでもなく、
あるがままの子どもって可愛いなあと改めて気づかせてくれます。

そして、先生たちの描写も同じことが言えると思います。
どれが一番いいとか悪いとは言えない。
野口先生のような先生も、決して悪いわけではない。一種、必要な素質も備えていると思います。
情熱だけじゃだめ。テクニックだけでもダメ。
野口テクニックを伝授された情熱たっぷりのちかこ先生が、体力勝負の亮先生と一緒にカバーしあえば、きっとかもめ幼稚園は安泰ですv

現実世界では、ちかこ先生のような人は一番損をすると思います。
物語のように理解してくれることの方がまれかもしれません。
それでも、やっぱり読者としては、そんな理想を求めずにはいられません。
ちかこ先生は失敗しながらも、とにかく一生懸命頑張ります。その一生懸命さが不器用で空回りしっぱなしですが、それでも、いや、だからこそ、応援したくなります。


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2008'07.02.Wed

メジルシ
草野たき:著
ジャンル:現代
好き度:4

<あらすじ>
離婚で一家離散する直前、最後の家族旅行に北海道へゆく一家の三日間の物語。

<感想>
この方、講談社の児童文学新人賞でデビューして以来、ずっと追いかけているのですが、中学生の微妙な心情を書くのがすごく上手いです。
何かしら、家庭や学校生活(家庭のことのほうが多いですが)に問題をかかえている子が主人公なのですが、ちゃんと最後には無理なく爽やかで温かい決着点を用意しているところがいい意味でとっても「児童文学」
児童書を読む人以外にはあまり知名度のない作家さんかもしれませんが、
大人が読んでも十分感じるものがあります。
基本児童書なのでページ数が少なく、一般書だったら短編集に収められてしまいそうな長さなので気軽に読めるのもいいです。
この本にかぎらず、デビューから6冊ほど出版されていますがハズレがありません。どれもいいです。
「癒しと再生」がテーマの本がお好きな方に是非ともおすすめの作家さんです。
2007'06.15.Fri

いろは歌に暗号(かくしごと)
鯨統一郎:著
ジャンル:歴史ミステリー
好き度:3 

<あらすじ>
空海が挑む、薬子の変の謎。
空海がいろは歌に隠した、薬子の変の真相とは!?

<感想>
空海、薬子はもちろん、神野天皇(嵯峨天皇じゃなくて、「かみの」天皇なところがミソ/笑)とか平城帝(薬子は「安殿」と呼んでましたv)仲成とか、なじみ深いキャラが多く出てくるのですが、「かみの」と言うと私はどうしても、あの可愛い「賀美野」をイメージしてしまって、その固定概念(あくまで私の)を捨て去らないと、ちょっと人間関係について行けない感を感じてしまいました。
推理も、「そうかな?」と思う部分半分、「そうかも」と思う部分半分という感じでした。
2004'12.14.Tue

『ななつのこ』(加納朋子)
ジャンル:日常の謎ミステリー
好き度:4.5

<あらすじ>
表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。わが町のトピック「スイカジュース事件」をそこはかとなく綴ったところ、意外にも作家本人から返事が。しかも、例の事件に客観的な光を当て、ものの見事に実像を浮かび上がらせる内容だった―。こうして始まった手紙の往復が、駒子の賑わしい毎日に新たな彩りを添えていく。

<感想>
優しい物語…一言で言い表すとしたらこれしかありません。
小さな謎を解きながら、淡々と、でも着々と進んでいく日常。
読み終わったときに、暖かい気持ちだけが残る素敵な物語。


『ささらさや』(加納朋子)
ジャンル:日常の謎ミステリー
好き度:4

<あらすじ>
夫を突然の事故で失ったサヤは残された赤ちゃんのユウ坊と「佐々良」という街へ移住。不思議な事件が起こる度に亡夫が他人の姿を借りて現れる。だが、亡夫の家族がユウ坊を引き取りたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が…。 (bk1:内容説明)

<感想>
相変わらず、読後爽やかで優しい気持ちになれます。
おばさま方がパワフルでいいです(笑)
姉妹編の『てるてるあした』で、その後のサヤたちの様子が描かれています。


『月曜の水玉模様』(加納朋子)
ジャンル:日常の謎ミステリー
好き度:4.5

<あらすじ>
いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった―。丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。やがて2人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように…。謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短篇(「BOOK」データベースより)

<感想>
陶子のサバサバした性格に好感を持ちましたv
ドロドロした過去を持っていても、強く正しく生きる姿が素敵ですv
情けない萩もいいキャラで好きですv
姉妹編の『レイン・レインボー』に陶子が脇役で再登場します。
2004'11.01.Mon


加納朋子:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:4.5

<あらすじ>
さみしい心を紛らわすためか、一心に人形を作り続ける女性

さみしい幼少時代の影響か、一つの人形に惚れてしまった青年

人形に魅せられた男性は生きた人形を手に入れた

生き抜くため、小さな劇場で女優を続ける少女は「人形」を演じる

1つの人形を軸に複雑に絡まり合う運命の糸…>

<感想>
バレエの「コッペリア」+ガラスの仮面の「石の微笑」
という感じ(笑)
いやぁ、面白かったです!
この作家さんは前々から気になってたのですが、これはかなり当たりです!

内容については特に何も言いません。というか言わない方がいいでしょう。何も先入観を持たずに読んで下さい。

恩田陸作品が好きな人には特にお勧め。
2004'10.15.Fri


北村薫 著
ジャンル:現代SF(かな?)
好き度:4

<あらすじ>
自動車事故にあった林真希は誰もいない世界に閉じ込められた。
毎日3時15分になると、前の日の3時15分に戻されてしまう。
繰り返される一日…すべてが無に帰ってしまう一日を151日間繰り返したある日、かかってくるはずのない電話が鳴り出した…

<感想>
藤野千夜の「ルート225」と似たような状況の話なのですが、
こちらの方が救いがあるので好きです。(というかルート225は怖すぎた)
自分だったらこんな状態に閉じ込められたらどうだろう…と考えると結構怖いものがあります。
一番つらいのは、何も生み出すことができないことですね。
日記を書いても、絵を書いても、詩を書いても、
次の日には全部元に戻ってなかったことになってしまう。
これはつらいですね…
2004'09.25.Sat


片川優子 著
ジャンル:青春ファンタジー
好き度:4.5

<あらすじ>
幽霊が見える高校1年生の弱気な主人公佐伯くん。
幽霊に憑かれやすい女の子、佐藤さん。
お調子者で話好きな幽霊の安土さん。
3人のおかしな関係が始まった。

<感想>
現役高校生のデビュー作だと知ってびっくりしました。それはさておき、
図書館に置いてあって何の気なしに手にとって読んでみたのですが、ツボりました。
おもしろいです(><)キャラがいいのです、とにかく!
弱虫で臆病で優柔不断だけど、バカがつくほど正直で純粋な主人公に、
普段は「いい人」を演じているけど実は強気でしっかり者な佐藤さん。
この2人の掛け合いが楽しくていいですv
そしてなんと言っても、佐藤さんに憑いた幽霊の安土さんがすごくイイです!
おしゃべりでお調子者。幽霊なのに悲観したところがちっともないのが素敵ですv
(あ、ちなみに安土さんは20歳くらいの男性です)
主人公の友人の志村くんも格好良くて好きですv

文体も読みやすいし、今後が楽しみな作家さんですv
2003'11.01.Sat
黒岩重吾著
ジャンル:歴史
好き度:2

神功皇后の歴史小説です。
簡単にいえば、龍神の娘として生まれた姫がどのように、権力を手に入れたか、という話です。(簡略化しすぎ/苦笑)

黒岩さんの本は私の好きな時代を扱っているものが多いです。
この本の主人公、神功皇后は私が個人的にすごく興味のある人です。
黒岩さんの神功皇后はなかなか格好いい女性でした。
仲哀天皇のイメージはだいぶ違いましたが。
私のイメージでは、ひ弱で他人の顔色伺ってばかりいる頼りない感じなのですが、ものすごく、強引で自信過剰な方として描かれてました。
なんか、こういう本を読んでると、王位継承って、本当に汚い世界なんだな、としみじみ思ってしまいますね。
常にこいつは信頼できるのか、と疑いなくなってしまいます。
なにはともあれ、ちょっと宗教くさすぎたかな、というのが感想です。
この時代の話だと仕方ないかもしれませんが。
(実際、神功皇后は神話上の人物だし)
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