2007'06.24.Sun
『銀の犬』
光原百合:著
ジャンル:異世界ファンタジー
好き度:4
<あらすじ>
地位や財産を望まず、音楽の力によってこの世に想い残す魂を解き放つ「祓いの楽人」
声を失ったオシアンと、そのオシアンの祓いを手伝う少年ブラン
彼らが出会った悲しい魂の5つの恋の物語
<感想>
連作短編なのですが、どれもよかったですね。
「この世に想いを残す魂の救済」と言えば察しがつくと思いますが、すべて「悲恋」です。
悲しい話なはずなのに、最後にはどこか温かく優しい気持ちになれる、そんな話です。
特に一話目「声なき楽人」が好きです。殺されて魂が彷徨い続けながらも、音楽を愛し、彼女を愛した彼が、とても愛おしくて…思わず「バカ!」と叫びたくなってしまうくらい、不器用で優しくて人の良い、そんなキャラクターに弱いです。
あと、最後の「三つの星」。これが一番やるせなくて切なかったんですけど、読後は一番気持ちがいいかも。
ちょっと『戒』(小川歩)に共通する部分があるかな、と思いました。
「三つの星」というタイトルも、読後に見ると切ないです。
肝心のオシアンとブランの出会いや、オシアンがなぜ声を失ったのか、などまだまだ謎がいくつも残されています。
シリーズとして是非とも続けて欲しいなと思います。
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