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書簡

太陽の読書記録

2018'04.21.Sat
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2005'11.28.Mon


タニス・リー:著
ジャンル:異世界ファンタジー
好き度:4.5

<あらすじ>
雪のように白い肌、森のように黒い髪、血のように赤い唇をもつ美貌の王女アルパツィアは、14歳の時、侵略者ドラコ王に攫われ無理矢理彼の后にされる。
ドラコの子どもを身ごもった彼女は、暗く歪んだ狂女となり、人々は、鏡に映った自分に話しかける彼女を「魔女」と呼ぶようになる。
それから7年後、娘コイラは自分を見ようともしない美しい女性「母」をひたすら恋い慕い、母であるアルパツィアもまた、「森」で生まれて初めて愛する人を見つける…
しかし、あることで恋人との愛を失ったアルパツィアは再び狂気に捕らわれ、必死で母の愛を得ようとするコイラもその母によって生死の狭間に追いやられることになる。
それから10年…美しく成長した娘の姿に過去の自分を重ね、言い知れぬ不安に襲われたアルパツィアは、ドラコ王の兵にあることを命じる…

<感想>
あらすじを読んで分かるかと思いますが、「白雪姫」を下敷きにしたダークファンタジーです。(「ギリシャ神話」もかなり物語で重要な部分を占めています)
児童文学ではないので、内容はかなり痛いです。
純粋無垢なお子様や白馬の王子様を夢見ている乙女な方にはおすすめしません。
「王子と結婚したからって幸せになれるとは限らないだろ!」とお伽話を素直に読めないちょっとすれて屈折した大人の方には楽しめる話だと思います。ちなみに私は大変おもしろく読ませてもらいました(笑)

「白雪姫」を題材にしているのですが、どちらかと言うと、主人公は「魔女」かもしれません。
というより、「母親=魔女=白雪姫」であり、また「娘=白雪姫=魔女」なんだと思います。
実の娘を殺そうとする母の狂気、そして歪んだ愛は、かなり激しく、そして哀しく切ないものがあり、魔女にならざるをえなかった女性の悲痛の叫びが聞こえてきます。
「本当は恐ろしいグリム童話」の白雪姫は実の母が嫉妬から娘を殺す話でしたが、この「鏡の森」の方が、背景が細かい分説得力があると思います。
「娘=白雪姫=魔女」というのは、娘のコイラも純粋培養で育てられた訳ではなく、愛を知らずに18年間も生きてきたため、その胸の内には母親と同じくらいの狂気を秘めていたと思うからです。一歩間違えば、彼女もまた母と同じ末路を歩むことになったでしょう。

もう一つ、この話で面白いな、と思ったのは、「王子様に助けられて、結婚してめでたしめでたし」というお伽話の黄金パターンに疑問を投げかけているところです。
助けてくれた王子に感謝はしても、結婚しなければならない義務も義理もないんですよね、お姫様には。
ぶっちゃけ王子が好みじゃない場合だってあるし、ものすごい変態かもしれないし(死体に惚れてキスするあたり、十分変態だし)
この話にも一応ヒーローは登場しますが、結構情けなかったりします。
でも、ラスト、彼女を助けるために彼が言ったこと、そしてしたことにはじーんと来ました。
これからも困難の絶えないであろう二人に祝福あれ…そんな気持ちになるエンディングでした。

最後に、本当に「白雪姫」の小道具を上手に歪めて使った、面白い話でした。
歪んだ愛に興味があるかた、是非とも一読あれ。
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