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書簡

太陽の読書記録

2024'04.19.Fri
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2006'04.16.Sun

辻村深月:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:5

<あらすじ>
ぼくの学校で可愛がっていたウサギが惨殺された。
そのことがショックで、幼なじみのふみちゃんは登校拒否になり、感情をなくしてしまった。
ぼくはふみちゃんの笑顔をとりもどすため、不思議な力を使って犯人に復讐をこころみる。
勝負は七日後。ぼくは「力」の使い方を習うため、親戚の「先生」のもとへ通うことに…

<感想>
これまでの辻村作品は長すぎて敬遠され気味だったかもしれませんが、今回は長さ、内容ともにとっつくやすく、読みやすいのではないかと思います。
『凍りのくじら』のふみちゃん、松永くん、『子どもたちは夜と遊ぶ』の秋先生、月子、恭司、真紀ちゃんが再登場します。
『凍りのくじら』に関しては、ふみちゃんはちょい役もちょい役なので、先にこちらを読んでもまったく支障はありませんが、『子どもたち~』は秋先生と月子に関して、多少ネタバレ的要素があります。
『子どもたち~』を読んでなければ読み飛ばしてしまうような些細なことではありますが、『子どもたち~』をまっさらな気持ちで読みたい方は、先に『子どもたち~』を読むことをおすすめします。
(逆にこっちから先に読んでたら、秋先生の印象が変わるかもしれないな…とも思いますが)
『子どもたち~』を読んだ方は、是非ともこちらもあわせて読むことをおすすめします。
謎のまま終わっていた部分、月子たちのその後が垣間見れますv

前置きはこの辺にしておいて、本題。
「復讐からは憎しみしか生まれない」とか「憎しみは繰り返す」とか、今までさんざん言われてきていることだけど、もし実際に復讐するとことが出来る能力を持っていたとしたら、自分はどうするだろうか。
仮に復讐をするとして、どんなことを相手に対してするだろうか。
「復讐」とはどういうことなのか、そのことについてすごく深く考えさせられました。
復讐するからには、その復讐した相手の身内から、今度は自分が復讐される覚悟をもつこと。それが出来ないなら初めから復讐なんて考えるな。
「復讐からは何も生まれない」と言うのはたやすいけど、しょせんそれは復讐したいと強く願うほど、誰かを憎んだことのない人間の言葉なんですよね…
復讐を肯定するわけではないけど、少なくともそれに対するリスクは負わなくてはいけないのだと思いました。
「ぼく」の出した結論が正しかったかどうかは難しいところです。
彼はリスクを重く受け止めたつもりだったけど、そのリスクは自分だけが背負っているのではないことに気づけなかった。
そのことを教えられた「ぼく」は、この先能力者として誤った道に踏み外すことはないだろうと思います。
ふみちゃんを救ったのは「ぼく」だけど、それは「ぼく」の「力」ではなく、本当の意味での「魔法の言葉」だったと言うことを重く受け止めてほしいです。

以下に『子どもたちは夜と遊ぶ』関連(ネタバレ)

以前『子どもたち~』の感想で、「恭司は二度と月子の前には立てないだろう」と書きましたが、全然普通に友達やってるみたいですね…(汗)
病室に会いに来た「恭司」を月子がどういう風に受け止めているのかは甚だ謎ですが、4人(月子/真紀ちゃん/恭司/孝太。孝太は出てきてないので分かりませんが、多分仲良くしているでしょう)元気に生活していてくれているみたいです。
でも、おそらく月子の記憶は戻ってないようですね。
浅葱がどうしているのかは、今後明らかにされることはないのですかね…
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泣いちゃいました
「ぼく」が出した結論が結局いいのか、悪いのか
どうもよく分かりません。でも、ぼろぼろになりながらも、がんばっていた「ぼく」から大切なことを学びました。心に残る作品です。
たすく: 2007.10/05(Fri) 21:35 Edit
心に響きます
正しい答えは、分からないですよね。
でも、「ぼく」の気持ちは痛いほど伝わってきて、まさに「心に残る作品」ですね。
レビューはまだ書いてませんが、『スロウハイツの神様』もとっても素敵な作品です。
もし、まだ詠んでいらっしゃらなかったら是非。
2007/12/10(Fri)
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