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書簡

太陽の読書記録

2024'04.26.Fri
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2006'01.01.Sun


坂木司:著
ジャンル:日常の謎
好き度:4

<あらすじ>
アライクリーニングの一人息子が、父の急逝をきっかけにクリーニング屋を継ぐことになる。
新米クリーニング屋のもとに集まる、ご近所の洗濯物をめぐる「小さな謎」の物語

<感想>
ほのぼのとやさしい、どこか加納朋子さんを思わせるストーリーと人物像です。
登場人物は、みんな活き活きして良い味を出しています。
進んでみんなの相談役を買って出る、主人公の友人のひょうひょうとした雰囲気が好きですv
そして、クリーニング屋も奥が深いんだなーと思いました。
クリーニングから返ってきたコート等に被ってるビニール袋はすぐはずさないといけないなんて知りませんでした。

シリーズ化を期待する一作です
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2005'12.21.Wed


辻村深月:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:4

<あらすじ>
センター試験を間近に控えたある朝、大雪の中登校した男女八人の生徒が学校に閉じこめられた。
誰もいない校舎、止まった時間。
そして彼らは、二ヶ月前の学校祭で自殺したクラスメートの顔も名前も思い出せなくなっていた。
なぜ、この8人は学校に閉じこめられたのか。
自殺したのは誰だったのか。
そして、彼らを閉じこめた人物の意図はなんだったのか…

<感想>
辻村さんのデビュー作です。
『子どもたち~』で、思いっきり騙されたので、今度こそ騙されるものか!とかなり気を付けて読んでいたのですが、やっぱり騙されました。
本当に、読者の盲点をつくのが上手いです!
そして、やはり心理描写はさすが。
外見だけでは、個々がかかえる悩みや葛藤は見えないし、気づけないものなのだな…というのが、痛いくらい伝わってきました。
個人的には、清水の心情が一番感ずるものがありました。
(共感…とまではとてもじゃないけど言えませんが。私はそんなに優秀じゃないです)

ただ、難を付けるとしたら、メインキャラ8人というは少し多すぎたかなと思います。
じゃあ誰を削るんだ、と言われると難しいのですが、ちょっと前半がたるいような気がしたので。

全体としては『子どもたち~』と比べるとまだ荒く無理矢理感もいなめないのですが、デビュー作としてかなりの完成度じゃないかと思います。
こっちを先に読んでいたら「今後に期待」と書くところですが、『子どもたち~』は期待通りと言ってよいと思いますので、「今後も良作を」と言いたいですv

以下にネタバレ感想
2005'12.07.Wed

東野圭吾:著
ジャンル:現代ミステリー
おすすめ度:5

あらすじは必要ないと思います。単純に面白い!というか可笑しい(笑)何度声に出して笑ったか!

東野さんの本は初めて手に取ってみたのですが、いきなり「当たり」でした。

短編集なのですが、特に「超税金対策殺人事件」「超長編小説殺人事件」が笑いました。
最後の「超読書機械殺人事件」にはちょっと「そういう傾向はあるかもなー」と思いました。ものすごく皮肉込めて書かれていますが。
2005'12.01.Thu


伊坂幸太郎:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:5

<あらすじ>
拝金主義者の画商戸田と駆け出しの女流画家志奈子。
プロのピッキング犯黒澤。
父親の自殺から新興宗教にのめり込む河原崎。
愛人と互いの配偶者を殺そうと企む京子。
失業中の豊田と老犬。

様々な視点から語られ、交錯する騙し絵のような物語

<感想>
まさに「騙し絵」!
私としては、「裏も表も真っ白なジグゾーパズル」と喩えてもいいかな、と思いますが。
ぴったりはまったときの快感がなんとも言えません!
普通に時系列に書いていったら、なんの面白みもない話だと思いますが、見事に計算し尽くされた文章構成です!
読後すぐに、2回目を読みたくなる本です。
2005'11.28.Mon


タニス・リー:著
ジャンル:異世界ファンタジー
好き度:4.5

<あらすじ>
雪のように白い肌、森のように黒い髪、血のように赤い唇をもつ美貌の王女アルパツィアは、14歳の時、侵略者ドラコ王に攫われ無理矢理彼の后にされる。
ドラコの子どもを身ごもった彼女は、暗く歪んだ狂女となり、人々は、鏡に映った自分に話しかける彼女を「魔女」と呼ぶようになる。
それから7年後、娘コイラは自分を見ようともしない美しい女性「母」をひたすら恋い慕い、母であるアルパツィアもまた、「森」で生まれて初めて愛する人を見つける…
しかし、あることで恋人との愛を失ったアルパツィアは再び狂気に捕らわれ、必死で母の愛を得ようとするコイラもその母によって生死の狭間に追いやられることになる。
それから10年…美しく成長した娘の姿に過去の自分を重ね、言い知れぬ不安に襲われたアルパツィアは、ドラコ王の兵にあることを命じる…

<感想>
あらすじを読んで分かるかと思いますが、「白雪姫」を下敷きにしたダークファンタジーです。(「ギリシャ神話」もかなり物語で重要な部分を占めています)
児童文学ではないので、内容はかなり痛いです。
純粋無垢なお子様や白馬の王子様を夢見ている乙女な方にはおすすめしません。
「王子と結婚したからって幸せになれるとは限らないだろ!」とお伽話を素直に読めないちょっとすれて屈折した大人の方には楽しめる話だと思います。ちなみに私は大変おもしろく読ませてもらいました(笑)

「白雪姫」を題材にしているのですが、どちらかと言うと、主人公は「魔女」かもしれません。
というより、「母親=魔女=白雪姫」であり、また「娘=白雪姫=魔女」なんだと思います。
実の娘を殺そうとする母の狂気、そして歪んだ愛は、かなり激しく、そして哀しく切ないものがあり、魔女にならざるをえなかった女性の悲痛の叫びが聞こえてきます。
「本当は恐ろしいグリム童話」の白雪姫は実の母が嫉妬から娘を殺す話でしたが、この「鏡の森」の方が、背景が細かい分説得力があると思います。
「娘=白雪姫=魔女」というのは、娘のコイラも純粋培養で育てられた訳ではなく、愛を知らずに18年間も生きてきたため、その胸の内には母親と同じくらいの狂気を秘めていたと思うからです。一歩間違えば、彼女もまた母と同じ末路を歩むことになったでしょう。

もう一つ、この話で面白いな、と思ったのは、「王子様に助けられて、結婚してめでたしめでたし」というお伽話の黄金パターンに疑問を投げかけているところです。
助けてくれた王子に感謝はしても、結婚しなければならない義務も義理もないんですよね、お姫様には。
ぶっちゃけ王子が好みじゃない場合だってあるし、ものすごい変態かもしれないし(死体に惚れてキスするあたり、十分変態だし)
この話にも一応ヒーローは登場しますが、結構情けなかったりします。
でも、ラスト、彼女を助けるために彼が言ったこと、そしてしたことにはじーんと来ました。
これからも困難の絶えないであろう二人に祝福あれ…そんな気持ちになるエンディングでした。

最後に、本当に「白雪姫」の小道具を上手に歪めて使った、面白い話でした。
歪んだ愛に興味があるかた、是非とも一読あれ。
2005'10.28.Fri



辻村深月:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:5

<あらすじ>
学部生を対象に行われた論文コンクール。最優秀者はアメリカへ留学できる。
その最有力候補と思われていた、秀才型の狐塚と天才型の浅葱。
狐塚を追って上京した月子と、狐塚の同居人恭司。
2人が見守る中、誰もが予想していない結果がまっていた…

過去から生まれた歪み、孤独、秘めた想い、叶わない願い…様々な思いは交錯してすれ違っていく…
哀しい殺人ゲームのすえに導かれる真実とは…


<感想>
どう書いたら良いか分からないのですが、心地よい敗北感…といった心境です。
以下、基本的にかなり核心をついたネタバレなので、続き↓に
2005'10.24.Mon


いしいしんじ:著
ジャンル:現代
好き度:5

<あらすじ>
今はいない、わたしの弟。
頭がよくて、おかしなおはなしを考える。
ぶらんこ乗りの名人で、指を鳴らすのが大得意。
事故で大切なものを失ってしまった弟と、それでも彼のことが大好きだった姉の物語

<感想>
こんなに愛おしい気持ちになった本には、久々に出会いました。
いしいさんの本は3冊読みましたが、やはりこれが傑作だと思います。
独特のいしい節、いしい世界観はまだ確立していないのですが、その中にもやはり彼独特のオーラが漂っている作品でした。
やはり、誰であっても処女作というのは、特別な思い入れがこもっているのかもしれませんね。

後半の展開は、そうなるんじゃないかな~という嫌な予感が的中でした。
一見、ありきたりっぽい展開ですが、登場人物の魅力と、文章の力で、しんみりと心に染み渡るような感動がありました。
2005'10.11.Tue


宮部みゆき:著
ジャンル:現代ミステリー
好き度:4

<あらすじ>
東京下町、亡き友人の遺志を継ぎ、古本屋を営むイワさんこと岩永幸吉と手伝いに来ている孫の稔。
彼らの周りで起こった、本にまつわる六つの事件…

<感想>
私は連作短編集が好きなのかもしれません。
とても読みやすくて分かりやすい話でしたv
個人的に好きなのは「うそつき喇叭」
推理自体は、それほど手が込んでいるわけではないのですが、この話の中に出てくる絵本『うそつき喇叭』の内容に考えさせられるものがありました。
うそつき喇叭(ラッパ)が、その嘘によって勝ち逃げしてしまう話なのですが、私はその喇叭が哀れだな…と思いました。
そんな風に嘘を付き続けることしか出来なくて、それを罰せられることもなく人生(と言って良いのか分かりませんが)を遂げてしまうことは「不幸」としか言えないかな、と。
2005'10.10.Mon


伊坂幸太郎:著
ジャンル:現代ファンタジー(ミステリー)
好き度:4.5

<あらすじ>
人は誰しも寿命が決まっている。
しかし、その寿命より前に、不慮の事故や殺人などで死ぬ場合は、死ぬ日の1週間前から死神が調査を行い、死んでもいいか、見送るかを決めているのです。

<感想>
連作短編集。面白かったです!
伊坂さんの本はこれで4冊目ですが、長編よりも短編連作の方が好みかもしれませんv(長編も面白いですが)
すごくさりげない一言が伏線になっていて、最後にすとんと落ちる感じがたまらないです(笑)
2005'09.22.Thu

芝田勝茂:著
ジャンル:異世界ファンタジー
好き度:4.5

<あらすじ>
時は、アイザリア内乱「虹戦争」が伝説になって久しいころ。
世界はまたも不穏な影が押し寄せていた。
世界の危機を救うため、歌と踊りを好む、さすらい人の街、ドーム群では、追放されていた道大工のトーマ、ドーム郡一の歌姫であり踊り子テオ、声と体を失った包帯姿の笛吹少年リンの3人が特別任務を言い渡された。
3人は、かつて郡の英雄クミルが退治したフユギモソウの種を、世界の果て”ルピア”に返しにゆく旅に出る…

<感想>
ドーム郡シリーズの三作目です!
1作目と2作目は前巻を読まなくても独立した物語として十分楽しめましたが、これに限っては前作を読んでから読んだ方がいいですね。「※~を参照」という部分が多く出てくるのですが、私はすっかり忘れてました(汗)

シリーズ通して言えることですが、この作品は特に「反戦」のメッセージが強いな、と思いました。
現在の世界情勢だからこそ、伝えなければならないメッセージだと思います。
誰もがドーム群の人々みたいな考えだったら世界は平和なんでしょうけどね…

欲を言えば、「真実の種」と「うその種」をもうちょっと物語に絡ませて欲しかったです。
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